社長インタビュー:秋山記念生命科学振興財団−1
秋山 孝二氏
秋山記念生命科学振興財団
理事長 秋山 孝二氏
全4回:1 2 3 4
■第1回(全4回連載)

北上
秋山様、お忙しい中、対談を受けて頂き有り難う御座います。
現在、介護を必要としている方々が全国に約426万人もいるということなのです。
実は2000年のときは256万人だったそうで約5年で200万人も増えているわけです。
1年に直すと50万人増えているのですね。
5年で200万人ということは札幌の人口が今たしか188万人ぐらいですか。
ですから、とてつもないペースだと思うわけです。

秋山氏
これまで新聞・雑誌等のメディアで「高齢化社会」と話題になっている場合は、厚生労働省とか一般の人も、「医療費」、「介護費用」が財政的、コスト的に増大して社会問題化するという話が多いのですね。
でも私はそうではないと思うのです。
この分野でビジネスをしようとする人たちにとっては、産業的な視点から膨大なニーズが顕在化しているにも拘らず、今それに対して満足できるサービス提供がされていないのが問題である、というように受け止めるべきだと思うのです。

北上
なるほど。

秋山氏
更に直感的には、実際に介護が必要な人たちというのは、もっと多いのではないかなとも思います。
ですからこの社会変化は、ビジネス的には大変有望ですよ。
高齢化社会が大問題だということではなくて、これから高齢者になる方からすると、今までずっと仕事一本で苦労してきた人、あるいはその陰で支えてきた人が、やっとこれから面白い良い時代になってくるのだ、言わば「人生の黄金期」を迎える、という認識をもつべきだと思うのです。

北上
最近、私も介護を意識しながら新聞を読むようになったのですけれども、そのなかでいわゆる「老々介護」と呼ばれるような、要は介護をする人が60歳代、70歳代の方で、介護される方も80歳代、90歳代の方で、親を殺めてしまうような悲惨な事件が起きたり。
そこに秋山さんもおっしゃっているように、まだまだ本当に知られていないサービスがたくさんあると思うのですよね。

秋山氏
これまで日本では、どういう介護が現実に行われてきていたのでしょうか。
家族が自宅で当たり前のようにやっている、病院で入院をしていて病院のスタッフがやっている、あるいは介護施設の人が見えないところでやっている作業ということでした。
ビジネス的に考える場合はそれではいけないわけで、「介護の社会化」と言われますけれども、作業全部がお金を払っての仕事に変えていくということだと思うのです。
先ほどおっしゃったように、老々介護でもう疲れきってともに倒れてしまうのではなくて、お金をいただいてのサービスであるがゆえに長続きするし、ある質が保たれるというところに、やはりビジネスとしての社会的意味合いというものが間違いなくあるのです。
昔、もう20年ほど前でしょうか、福祉分野の方々が集まった様々な席で、「ビジネス」とか「利益」といいましたら総スカンだったのですよ。
「福祉の分野でビジネスなんてとんでもない」とか「儲けるなんて」と批判されたのですけれども、継続的に一定水準のものを長く続けていくということ、収益を上げるということは絶対に必要不可欠ですし、非常に大事な視点ではないでしょうかと申しました。
だんだん時代が変わってきて、今は「介護ビジネス」といってもそのような意味の批判っぽい話はなくて、逆に身内がやっていることの限界性について、かなりの人たちが声を上げ始めています。
そして介護分野のもう一つの大きな変化だと感じるのは、以前は、良く知らない人は高齢者自身がマーケットだと思っていたのですが、実は介護する人たちがマーケットだったのですね。
高齢者はその結果として施設に行ったり、家庭にいたりというようになっていたのです。
しかし現在はむしろ自立する高齢者として、高齢者自身がこうしたい、ああしたいという時代に変わりつつあり、高齢者自身の意思やライフスタイルというもの自体もマーケットになりつつあるという感じがするのです。
この両方の意味で間違いなくビジネスチャンスは広がっていますよ。

北上
なるほど。
一説には、今現在シルバー産業というマーケットは約10兆円になっているといわれているのです。
私は20世紀の雇用の受け皿というのは、いわゆるゼネコンが担っていたと思うのです。

秋山氏
労働集約型の産業ということでね。

北上
そうです。
しかし21世紀の雇用の受け皿というのは、まさに介護事業というような事業が雇用の受け皿となっていかなくてはならないのではないかなと思っています。

秋山氏
マクロ的にはまったくその通りです。
そして「新しい雇用」というのは、どこかにある本社を核として、支店の何々ということではなくてね。
介護を担う人というのは、別に出張とか、転勤とか、単身赴任とかではなくて、やはり各地域において同じ言葉・文化の人が担う、働く側からいうと生活の場と仕事場ということがコミュニティーのなかで回っていくという意味では「ネットワーク型」であり、全国展開といってもそういうタイプだと思いますね。

北上
まさに地域に密着したという。

秋山氏
本当に短い期間の場合もあるし、つきあいが結構長くてコミュニケーション自体が重要になる場合も有りますね。
それからもう一つは、先ほどおっしゃったように、自宅であれば密室状態なので、お店でモノを売るということとは少し違うサービスですよね。
あるいは遊園地でサービスを提供するということとも違います。
密室でのサービス提供ということであれば、サービスの質の担保を会社自体がビジネスモデルのなかに余程しっかり入れ込んでいないと信頼は得られないと思うのです。
そういう意味では非常に奥行きの深いビジネスだと思います。

北上
冒頭に秋山さんがおっしゃったいわゆる介護関係、福祉に対して民間企業が参入して利益を上げるとは何事かという世間一般の風潮があったということだったのですけれども、私も秋山さんの考えに非常に共感をもつのは、会社というのはそもそも利益を出し続けなければいけない、ゴーイング・コンサーンという使命があると思うのです。
結局それは働いている人とか、そこに勤めている人間を含めて社長とかが利益を全部もらうということではなくて、サービスを受けていただく人たちによりよいサービスを提供していくために、それをし続けるために利益というのは必要だと思うのです。

秋山氏
おっしゃる通りです。
ところが「みんなそうやってうまいことをいうんだよ」と、さんざん騙されてきたという受け手側の思いも時々聞く場合もあります。
その理念をきっちり会社の事業のなかで徹底していくというのは、人を介護する現場においては、介護をする人がどういう言葉づかいで、どういうやさしい気持ちをもって、どう誠意をもってやる事でしょう。
会社のブランドというのはそういうものからしかつくられないから。
現場のサービスのなかで、どう実現するかというところがポイントだと思います。


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